香港の航空会社で客室乗務員として働いて、丸5年になります。
CAとして会社に採用されたら、夢の初フライト…の前にまず乗り越えなくてはいけないのが
「地獄のトレーニング」
です!!
今回は、入社後のトレーニングについて
・何を勉強するの?
・期間はどれくらい?
・どれくらい厳しいの?
といったお話をしていきたいと思います🙆♀️
一言でいうと、
サービス・セーフティ合わせて2ヶ月
試験に落ちたら即クビ!
そんな恐ろしいトレーニングの詳細を一緒にみてみましょう😇
その0:トレーニングの長さと内訳
だいたいどこの会社も2ヶ月前後だと思います。
私の会社ではこんな流れです↓
★入社★
4週間:楽しいサービス訓練
3週間:地獄の安全訓練
〜数名の脱落者が出たり出なかったり〜
1週間:仕上げのシムフライト(シミュレーションフライト)
★おめでとう!免許ゲット★
✈︎✈︎✈︎✈︎✈︎✈︎✈︎✈︎
以下で詳しくみていきます🙆♀️
その1:楽しいサービストレーニング⓵
これは想像していたものなので、当然楽しいです。
具体的に訓練ではどんなことをしたかというと
・サービスの心構え
・モックアップで、機内のどこになにがあるか確認、暗記
・機内食を食べてみる!特別食について等
・実際のサービスのやり方
・こんな状況、どう対応する?
(例:赤ちゃんが泣いている!飛行機が怖い!あの席の人がうるさい!後ろの席の人が蹴ってくる!等の対応)
・体にハンディキャップのある方への対応
実は、実際にフライトをするまで、本当の飛行機には乗れません!
その間、モックアップと呼ばれる飛行機のモデルルームみたいな施設を使って練習をしていくのです。
これは
サービス訓練用のモックアップと
安全訓練用のモックアップ
の2種類があります。
サービス用のモックアップでは、ギャレーと呼ばれるCAの台所がリアルに再現されているので、サービスの練習をするのに最適です。
逆に安全訓練用のモックアップでは、ギャレーの設備は本物ではなく、その代わりドアが実際に開閉できるようになっています。そこで脱出の訓練とかをするのです🙆♀️
その2:地獄のセーフティトレーニング
さあ、いわゆるCAの訓練というとこちらになります。
まず、インストラクターが超怖い人に変わります。笑
そして、鬼の勉強をしないと試験にパスできません。
”人生で一番勉強した”
という人続出の勉強漬けの3週間です。
具体的にはこんなことを勉強します。
機内の安全規約叩き込み
航空機で禁止されているものの、重量や条件など細かいところまで暗記します
例えばバッテリーで動く車イスは機内持ち込み禁止、ただしバッテリーを外せればOK
とか
ドアの隣に座っては行けない人(◯才以下、Extension beltつけている人等)
アルコールは何%までのものを1人◯ℓまで持ってきてOK
などなど
こういうことをひたすら暗記します。
ファーストエイド
これが辛い…やることは病気・怪我への初期対応についての勉強です。
初級:乗り物酔い、貧血、軽い酸欠、頭痛や腹痛
中級:骨折、やけど、喘息、てんかん、低酸素症、窒息、糖尿病の発作
上級:脳卒中、狭心症、ショック、内外出血、心臓まひ、緊急出産
やばい:心肺停止、お客さんが亡くなった時の対応
これらの対応に関して勉強します。しかもうちは外資だから英語で…グーグル翻訳片手に同期と乗り越えました…難しかった…
心肺蘇生の訓練もあります
AED(心臓を電気ショックで正常に戻す装置)の使い方もやります
機内の緊急事態への対応
ファーストエイドは対人ですが、こちらは対機体です。
例えばこんな事態に備えた訓練をします↓
・減圧
・火災(タバコ・オーブン・電子機器)
・ハイジャック
減圧に関して補足させてください。
飛行機の内部は気圧の調節(加圧)がされています。
なんせ外は高度何万メートル。高山病どころの騒ぎではありません、超気圧が低いのです。人間はその低気圧では生きていけません。
なので、機内の気圧はだいたい2000Mの山の頂上にいるくらいの気圧に保たれています。(確かそれくらいだったはず)
そして空気は気圧の高いところから低いところへ動く仕組みがあるので(物理!)
もし、何らかのトラブルで機内の加圧システムが働くなった場合、私たちは
全力でシャカシャカされたコーラのキャップを開ける寸前
のようになってしまいます。
怖いですね。もちろん、飛行機はそうならないようにきちんとメンテナンスされていますよ!!
緊急脱出の訓練
まだあるの!!と思ったそこのあなた、もう少しです!笑
めっちゃいい動画発見しました、まさにこういった内容を訓練でやります。
訓練の内容はこんな感じです↓
・緊急脱出(陸地・水上)
・各タイプのドアの開け方
(機材によってドアの操作が違います)
・脱出コマンド暗記
(かけ声ですね)
・脱出時に持っていく器具と使用方法
・スライドの滑り方、人の支え方
・ラフトのたて方
・救助シグナルの出し方
などなど
最終試験
仕上げにコンピューターベースのテストを受けます。80%以上で合格です。範囲がめちゃめちゃ広いので、どれだけ勉強しても不安しかありません!笑
万が一不合格になった場合、1回まで再試があります。
それでもダメだったら…?
残念ながらその時点で解雇です。容赦無く、クビです。
実際に日本人の先輩の代で、このテストに落ちて解雇&帰国になった人もいます。
その3:仕上げのシムフライト(シミュレーションフライト)
地獄のセーフティ訓練を経て、同期も減ったり減らなかったりします。
私の同期は何とかみんな合格しましたが、普通に毎期1人か2人はここまでたどり着けません。
さて、サービス・セーフティもパスしたCA候補生たちが最後にやることは
シムフライト(シミュレーションフライト)
です。
CAの業務は、その日指定された担当ドアを基準にしたポジションによります。
例えばこうなります
1番ドア右は、担当エリア◯列、ビジネスクラス
4番ドア補佐は、担当エリア◯列、エコノミークラス後方ギャレー所属
3番ドア左は、担当エリア◯列、エコノミークラス前方ギャレー所属
それに沿って実際のフライトを想定し
離陸前チェック・離陸・上空に上がってサービス開始・着陸前チェック・着陸
といった流れをモックアップで行います。
何日か練習をして、最終日に順番に試験を受けます。
その試験にパスすることで、ようやく…ようやくCAになれるのです!
まとめ
ちなみにフライトをし始めてからも
・出社するたびにセーフティクイズを受け、パスしないとフライトに参加できませんし
・1年に1回安全訓練とテストを受けて免許を更新します。
この仕事は日々やっていることはサービスの側面が強いですが、勉強することといえば安全のことばかりです🙆♀️
私も振り返っていて懐かしい気持ちになりました、皆さんにも楽しんでいただけていたら嬉しいです★
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