こんにちは、みさたる(Twitter@misatal1)です!
私は2015年6月〜2020年6月まで香港に住み、客室乗務員として働いていました。
さて、香港にとって2019〜2020年は激動の1年でした。
その大きな理由は「政府と市民の対立・デモ活動」です。
・空港を占拠したデモ集会が開かれ、一時的に全ての航空便がストップ
・地下鉄駅の破壊・道路占拠によって生じる交通の乱れ
・観光客(主に中国本土の人)の激減
など、デモは個人の生活・経済活動の両方に大きな影響を与えました。
でも正直日本で暮らしていると、疑問に思いませんか?
・そもそもなんでデモしてるの?
・実際街の人はどんな感じなの?
・自分たちは何を考えればいいの?
今回はこれらについて、なるべくわかりやすくお話できたらと思っています。
こちらの記事は第2段です。背景や原因について興味がある方は、是非こちらをご覧ください↓

中国・香港の複雑な関係
謝謝って言わないで!
香港に来たばかりの頃、香港人の同僚に「謝謝(シェシェ)!」とお礼を言っていました。
でも明らかに嫌そうな顔をされます。なんででしょう?

それは、香港で使われている言語が広東語だからです。
私たちがよく知っている「ありがとう」という意味の謝謝(シェシェ)。
これは主に中国本土で話される北京語(普通語)の単語なのです。
豆知識:この先、北京語=普通語で統一します🙆♀️
私たちは広東語を話す香港人です!
個人差はあれど、イギリス領だった香港の、広東語を話す香港人であること。このことにプライドを持っている人が多かったです。
好きじゃないけど・・・
とは言いつつ、やはり経済的には中国にがっつり依存しています。
香港人より多いのでは?と思うほどの、中国人観光客。
中国人相手の宝石屋さん。高級ショッピングモール。
保険商品や株、不動産なんかも中国人が沢山買っていきます。
普通語を話せないと、お給料の高い仕事につけない!と、親は子どもに普通語を学ばせます。
また見逃せないのは、多くの香港人がさまざまなタイミングで中国本土から移民してきた人たちだ、ということです。
「親は中国本土出身」
「中国本土に親戚がいる」
と話す同僚は沢山いました。
中国のことは、
好きじゃない。でも必要。
好きじゃない。でも大きな声で言えない。
それが本音だったように思います。
市民の様子
デモ初期
一番最初の大規模デモの日。私は日帰りのフライトに乗務中でした。
香港人の同僚から
「街や世界を騒がせてしまって、本当にごめん。別に騒動を起こしたいわけじゃないの。私たちの未来がかかってるの。ごめんね、許してね。」
と言われたのを強烈に覚えています。
「仕事終わったらデモにいく!」
「ストライキも参加します!(ストの日もありました)」
と、みんな一生懸命デモに参加していました。
特に学生・子どもが小さい若いパパママ世代の参加が多かったです。
デモ中期
正式な手続きを踏んで集会の申請をしても、警察から許可が降りなくなってきました。
無許可=違法な集会ということで、警察はより一層取締りを強化します。
デモ隊は逮捕されないよう、マスクで顔を隠すようになりました。
香港の政府は「公共の場でのマスク着用を禁止する条例」を作って対抗。
マスクをしていると警察に職務質問される…嘘のような話が、ついこの前の秋、香港であったのです。
ちなみに
これは個人的な話ですが・・・
私のいた会社でも「違法なデモへの参加は控えてください」
という社員向けのメッセージが流れました。

デモ参加者を放置したら、中国の上空、飛ばさせないよ。
と圧力をかけられたとかなんとか。
さらにデモ参加者、デモをサポートする内容をSNSに投稿していた人が、次々と解雇される謎の現象も発生。
(労働組合の会長が解雇され、記者会見動画がYoutubeにUPされてます。)
同僚の中でも、政治に対して誰がどんな意見を持っているか分かりません。
「あの人の旦那は警察官だ」
「あの人の家族は行政で働いている」
という噂が広がり始めます。
政府寄りの人に政府の悪口を言ったら、会社に密告され自分もクビになる!
と、みんな恐れていました。
(実際に密告した人・解雇された人の名前が社内でシェアされていました)
会社からもデモに参加するなといわれる
会社での発言は自分を守るために控える
・・・これってもう言論や集会の自由はあるの?って感じですよね。
「同僚の間では、政治的なことを話さないようにしよう」
去年の夏から秋、私の会社でもこんな空気が流れていました。
デモ後期
あそこはブルーだから気をつけて!
あの店はイエローだから安心だよ。
という会話が増えました。
ブルーは警察の色、つまり政府側・親中国派のこと。イエローはデモ活動に対して肯定的な団体や企業のことです。
ブルー飲食店まとめ、のような画像が多く出回っていました。
沢山の人が集まると、中には攻撃的になる人もいますよね。
ブルーとされるMTR(香港地下鉄)の駅を破壊したり、ストライキに参加せず出勤する人を妨害しようと、道路を塞いだりしました。
デモが始まって間も無く半年…というところ。
生活への影響は大きく、
電車やバスがスムーズじゃない
経済が停滞してる
など、市民の不満もつのる一方。
だんだんと、デモへの参加者は少なくなりました。
コロナ期から・・・
そんな中、新型コロナウイルスが流行。
香港はかつてSARSで深刻な打撃を受けたので、素早く感染症の予防に取り組み始めました。
ようやく落ち着いてきた4月頃、また少しずつデモが再開。
そんな中での香港国家安全維持法の施行です。
→次回の記事で扱います。
参考文献
✔️池上彰の世界の見方 中国・香港・台湾編 (池上彰著 小学館)
これは非常に分かりやすかったので、中国近辺の問題や歴史に興味がある方には強く強くオススメします!
中国・香港・台湾の歴史や、それぞれの政策、現在の問題がなぜ起こっているのか?などが本当にクリアになります。
✔️ジョシュア 大国に抗った少年 (NETFLIX)
1時間ほどのドキュメンタリー映画です。壮絶です。政治的な問題抜きにしても、若い人が信念を持ってパワフルに活動している姿に、頭が下がります。
✔️中田敦彦のYOUTUBE大学
実は最初はこれから入りました。池上彰さんの本を分かりやすく解説してくれています。少し長いですが、理解が深まりますよ!
さいごに
記事で政治的な話は控えようと思っていましたが、
自分が見聞きしたことを残しておきたい
香港の状況に興味を持っている人がいたらシェアしたい
という気持ちからこの記事を書きました。
お役に立てれば嬉しいです😊